ことばの遅れについて|おひさま 子ども・ファミリークリニック|神戸芸術センターの小児科・児童精神科

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ことばの遅れについて|おひさま 子ども・ファミリークリニック|神戸芸術センターの小児科・児童精神科

ことばの遅れについて

児童精神科医療に携わっていると、ことばの遅れについて相談を受けることが非常に多いです。

今回は、話せるようになる理由、ことばの成長を促すために必要なことはなにかについて書いてみます。

 

そもそも、「ことば」とは何でしょうか?

当たり前のことに思うかもしれませんが、「ことば」を使う目的は「コミュニケーション」=「意思疎通」のためです。

意思疎通のための方法としては、「ことば」以外にも絵や動画、身振り手振りなどあると思います。

他の手段より「ことば」が便利に使われているのは、時間当たりに伝える情報の量と使うエネルギーのバランスを考えると、話し言葉が一番効率がいいからなのかもしませんね。

手話と話す動作のエネルギーとスピード感を比べると、話す方が効率的に思えます。

文章にしたものを読むと、話すよりも早く沢山の情報を伝えることができることもあります。

「意思疎通」には「ことば」が便利そうだ、ということはある程度同意していただけると思います。(「私は『ことば』以外の方法が楽だ」と思う人もいると思いますが、あくまでも一般論としてです)

 

意思疎通をとるためには、どんなきっかけが必要でしょうか?

それは、「自分の思い・要求を伝えたい意思」です。

コミュニケーション欲といってもいいと思います。

そしてその前提として「人への興味」が必要です。

人への興味が生まれて、言葉につながるまでの流れのイメージは、以下のようなものです。

 

  1. 「人への興味」が生まれて、自分を助けてくれる存在に気が付く。
  2. 自分を助けてくれたり、なにかしらのやり取りをして楽しくなったりうれしくなる時間をもとめて、喃語やスキンシップなどの原始的なコミュニケーションをし始める。
  3. 偶然に声をだすことで保護者が喜んでくれるなど、周りの反応がうれしくてまた声を出す。
  4. そのうち偶然に、聞きなじみのある音をだして褒められる。また、何度も同じを音を聞いているうちにものの名前や動作を表すことばを覚えていく。
  5. 要求を言葉で伝えると正しく伝えられるようになるので、ますます言葉をつかうようになる。

 

自閉スペクトラム症のお子さんの場合、最初の人への興味がしっかり育つのに時間がかかることが多く、そのため言葉が遅くなることがあります。

なかなか目線が合いにくい、要求があるときには言葉でなく大人の手を引いてやってほしいことを伝えるなどが目立つ時期は、要求をかなえてあげるときに本人の顔と対応している大人の顔の間に手渡しするものを置きながら「どうぞ」と声掛けしましょう。

このような取り組みを続けることで、大人の手が助けてくれるのではなく、自分が欲していたものの先にある顔をもつ存在が自分を助けてくれていると気づくようになるといわれています。すぐに成果は出ないかもしれませんが、繰り返し根気強く伝えていくことが大切です。