「不登校」を医療としてサポートするとは 後編|おひさま 子ども・ファミリークリニック|神戸芸術センターの小児科・児童精神科

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「不登校」を医療としてサポートするとは 後編|おひさま 子ども・ファミリークリニック|神戸芸術センターの小児科・児童精神科

「不登校」を医療としてサポートするとは 後編

当クリニックの不登校状態にあるお子さんへの治療の原則的な考え方は前編に、治療の最初のステップ1については中編に書いていますので、まだ読んでおられない方は先に読んでいただくとわかりやすいかと思います。

 

では、もう一つの医療対応であるステップ3について紹介します。

 

以前は気にならなかったのに、今はほかの人の視線が気になる状態は社会不安障害といわれる状態のことが多いです。

その場合には、SSRIと呼ばれる抗うつ剤の一部を処方することがあります。

思春期など比較的若い世代での使用実績もあるお薬を選んで治療します。

単純に抗不安薬といわれるお薬を使うこともあります。

ただし、抗不安薬についてはお酒で酔って嫌なこともぼんやりさせて流してしまう状態に近いので、根本的な解決ではありません。

とはいえ、不安な気持ちに毎度正面から向き合い続けると、せっかく心の傷が治りかけてかさぶたが出来たところをかきむしってしまい、いつまでも治りにくくなる状態が続いていることに等しいので、お薬で辛い感覚を麻痺させて心の傷が回復する時間を稼ぐ考え自体は必要な時もあります。

この辺りは、相談しながら治療方針を考えていきます。

また、不安が高い場合にも漢方の抑肝散などが有効な場合もありますので、状況をみてお勧めすることがあります。

 

小さいころから視線が気になったり、人の顔を見て過ごすのが苦手な場合は、元々の個性で対人が苦手な場合も多いのですが、時に発達に特性がある場合や愛着障がいが隠れている場合もありますので、背景によって治療の方針を考えていくことになります。

特に、発達に特性があるために視線が怖い場合、訓練でどうにかなるものではなない場合もあります。

発達に特性のあるお子さんの場合、視線が怖いことが本質なのではなく、他人とかかわる場面で何が起きるか想定することがむずかしいために人と過ごすのが難しい場合もしばしばです。

その時には、その後の展開が予想できるようになるための工夫(具体的には千差万別ですが)をしてあげることが必要です。

なかなか「助けて」と言えないために、困ることが予想されたらその場面を避けるようになるお子さんもいます。

困ったら先生や友達に「助けて」といえる、助けを求めるスキルも、長い人生の中ではとても重要です。

発達の特性があるお子さんの場合、単に声をかけることが怖いというより、助けを求めると「じゃあ、こうしてみようか?」と、本人にとって新しい想定外の提案をされることがわかっているので尻込みしてしまうということも多いようです。

結局は、「想定外が起きても悪いことが起きるわけじゃない、なんとかなるさ」と受け止められるようになる、根拠のない自信を育てていくことが肝になるとおもいます。

このような心のしなやかさはレジリエンスと呼ばれることもあります。

本来なら、普通の子育ての中で自然と育つ力ではあるのですが、発達に特性のあるお子さんの場合は意図的に育てるかかわりが必要になることも多いです。

興味がある方は、「レジリエンス」「発達障害」というキーワードでいろいろと調べてみるといいかと思います。

できれば、就学前にレジリエンスを伸ばしていく方が、その後の学校生活がスムーズにスタートできると思います。

成長してから取り組むと遅いということはありません。

さすがに成人してから取り組むと、それまでにネガティブな経験をしているせいで自信を持ちにくくなりますが、中高生でもきっかけがあれば成長できることもあります。

 

またまた、横道に沢山それてしまいましたが、「視線が怖い」ということに対してもこれだけ、沢山の可能性の中からサポートの方法を考えていくことになります。

 

沢山の情報を出してしまいましたので、不登校を医療的にサポートする場合、どのような治療を行うのかまとめ記事を次にあげていきたいと思います。